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インタビュー ゲスト:Desserto Martinさん

 

 

 皆さん、こんにちは!CACTUS TOKYOスタッフ井上です。今年も早くも夏休みを終え、月日の流れの早さを強く感じます。同時に、全国で猛暑日が続く今年の夏。夏バテには気を付けながらも、今年こそ楽しめた夏が皆さんに訪れた様に感じます。

 今回は、海を渡りメキシコから。CACTUS TOKYOにとってプロダクトの肝である、サボテンレザーを製造するDessertoのSales Manager Martinさんにお話をお伺いしました。

 サボテンレザーが生れたきっかけ、サボテンレザーならではの良さ、世界のサボテンレザーへの反応を直接伺いました。少しニッチなお話ですが、製造の現場の声をお楽しみください。

 

 

    • サボテンレザーDessertoの産みの親、Adrian and Marte
    • 名実ともに植物性レザーの代表格Dessertoのサボテンレザー
    • 多くの挑戦とこれからのDesserto

 

 

サボテンレザーDessertoの産みの親、Adrian and Marte

―先ず始めにどの様な方がDessertoを運営されているのですか。

 DessertoはAdriano Di Martiという会社が運営し、メキシコ在住のAdrian Lopez Velarde(以降、Adrian)、およびMarte Cazarez(以降、Marte)が開発したサボテンレザーの生産ブランドです。

 AdrianとMarteがどんな人物か簡単に説明します。2人は学生時代に台湾で出会い、それぞれ卒業後Adrianは本革や合成皮革を家具や自動車用に販売する仕事に就き、Marteは米国でのアロエベラという植物を使ってオーガニックのバス(風呂)グッズを作るプロジェクトに関わっていました。

 

―そんな2人はどの様にサボテンレザーの開発に至ったのですか。

 最初にサボテンの可能性に気づいたのはMarteの方です。先述したアロエベラはサボテンにとても近い植物で、研究の中でサボテン科の植物が特定の成分特異的なタンパク質を持っていることが分かりました。

 Marteはその後、本革と合成皮革製のストラップを作る時計会社に入ります。台湾で出会った2人ですが偶然にも別の業界でレザーを扱い、メキシコで再会。お互いの仕事の話をする中で、自動車業界とファッション業界の環境汚染問題に気づきます。

 その中でアイデアに出たのが、私たちのサボテンレザーです。この様な偶然が重なって開発に至ったのです。

 

―Dessertoの開発はどの様なものだったのでしょうか。

 その前にサボテンレザーの開発に至った経緯をもう少し掘り下げますが当初、既にあるサステナブルなレザーを活用したファッションブランドを作ることを念頭に入れていました。しかし、当時はヨーロッパのレザーを輸入すること以外、多くの選択肢はなく、高価な上、輸送に高い環境負荷がかかる為現実的ではないと考え、Marteのサボテンに関する知見とAdrianの業界の経験値を掛け合わせることで自分たち自身でサボテンレザーを開発するに至ったのです。

 サボテン科には多くの品種があり、アガベと呼ばれる品種を使用したこともありましたが、メキシコの国旗にも描かれているノパルという品種でDessertoの開発に成功しました。

 

名実ともに植物性レザーの代表格Dessertoのサボテンレザー

現在様々な植物性レザーがあります。サボテンレザーはどの様な点に良さがあるのでしょうか。

 サボテンレザーの製品を使う一利用者にとっては、耐水性と長期間使用できる耐久性があげられます。ですので通常、市場に出回っている植物由来のレザーはバッグやアクセサリー、靴に使用されたりしますが、Dessertoはこれらの他、幅広く家具にも使用することもできます。

 また、低い環境負荷も特徴です。日本の皆さんがご存じかどうかわかりませんが、オレンジ、マンゴー、バナナなどを含むすべての植物(野菜や果物を含む)は、通常1kgの収穫物を得るためには1000リットルの水を必要とします。しかし、サボテンは同じ1kg生産するのに200リットルの水しか必要としません。一般的に他の植物では人口の灌漑システムを必要としますが、サボテンはメキシコにはいたるところに自生しており、灌漑システムを必要とせず土壌から必要な200リットルの水を吸収します。

 

 無農薬でサボテンを育てるということで多くの二酸化炭素を吸収し、土壌を再生します。私たちがサボテンを植え始めてから、農園内にサボテンの他、小さな植物や小さな動物が繁殖し始め、メキシコに生息するガビランという鳥が集まるようになりました。これはとても凄いことで、素晴らしく美しい光景でした。

―サボテンレザーと言えばDessertoと世界で認知されていますね。他のメーカーでは真似できない、Dessertoならではの特徴はありますか。

 製造技術に強みがあることだと考えています。レザーの裏地の上に何層にも層を重ねる転写コーティングの技術があります。リサイクル可能なオーガニックコットンの裏地として使用し、その上に樹脂を何層にも重ねることで、本革や合成皮革顔負けの手触りの良い素材を作ることができています。イタリアにはもうひとつの工場があり、そこではサボテンの樹脂をより厚く凝固させることで、より硬く、より耐久性の高い素材を作ることができています。

 

―これまでご説明してもらいました通りDessertoは素材として高い評価を受けるべきポイントが多いと感じていますが、特にどの点が評価されているのでしょうか。

 

 これまでの受賞はすべて、素材の革新性が評価されています。例えばグッドデザイン賞や、ファッションのダボス会議とも呼ばれている「Copenhagen Fashion Summit」ではグリーンプロダクトアワード、「LVMH*¹ Innovation Award」ではサステイナブル素材のイノベーション部門で1位を獲得した時もこの点が評価されています。

 他の賞では、企業としての社会的責任を果たす姿勢が評価されたものもあります。また、ニューヨークのマテリアル・ライブラリー*²では、メキシコのブランドとしては私たちが初めてDessertoが登録されました。

*¹ルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオール、ティファニーなどのファッション業界の巨大複合企業。
*²ニューヨークを本拠地として世界7か国で展開される世界最大規模の素材のライブラリー。日本では六本木にあり、会員制で最先端の素材に実際に触れることが出来る。

 

多くの挑戦とこれからのDesserto

ー今後のDessertoについてお伺いします。まず、CACTUS TOKYOでは扱っていないですが、Dessertoのうち、とある素材は90%オーガニックまで達していますね。今後の研究、開発の予定はいかがでしょうか。

 これまで使用してきたノパルの他に、アガベを用いたレザーを2023夏にリリース予定です。アガベは、メキシコでテキーラを作るのに使われる植物です。酒造の工程でその繊維は大量に廃棄され、テキーラ工場ではその処理のため、お金を払っている現状があります。アガベの成長期間は6年から7年と非常に長いのに、廃棄となってしまうのは非常にもったいないことです。

 私たちが出来ることは廃棄物を買い取り、それを加工して、通常のDesserto とよく似た、しかしサボテンではなくアガベからできているDesserto Agaveを作ることです。

 これまでの開発もこれからの開発も基本的には、より環境負荷の低く、透明性の高い素材のイノベーションを起こすためのものです。そしてより多くの用途に適応できる素材のバリエーションを増やしていくこと、ということですね。可能であれば、いつか100%オーガニックを達成できるよう素材の研究もしています。

 

ーAdriano Di Martiとしてはどの様なビジネスを展開するのでしょうか。

 実はアジアの市場もかなり大きいので、近い将来、アジア大陸にも拠点を構えるつもりです。アメリカ大陸やヨーロッパ大陸には既に進出しています。工場か事務所か分かりませんが、世界中のすべての顧客にDessertoを供給し、よりよいサービスができる様にします。そうすることで、Adriano Di Marti全体の輸送や移動にかかる環境負荷も減らすことができます。

ー開発秘話など貴重なお話ありがとうございました。


(インタビュー協力:Adriano Di Marti社 Sales Manager Martin Davila)

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