対談インタビュー ゲスト: YURI SATOさん
皆さん、こんにちは!CACTUS TOKYO PRチームの井上です。夏本番の8月、サボテンの成長も著しく毎朝サボテンの葉の大きさを測るのが日課です。
CACTUS TOKYOとそのステークホルダーとなる方々との対談インタビュー。今回はCACTUS TOKYO代表、熊谷とご縁があり、お話をお伺いすることになりました、NY発エシカルジュエリーブランド、YURI SATOを運営されている、株式会社ON 代表取締役 SATO YURIさん。
ジュエリーというと、もしかしたらお財布より身近でないという方もいらっしゃるかもしれませんが、こだわりのある方にはとても身近で心のこもり易いアイテムです。そんなジュエリーとお財布のエシカルな交差点を感じてお読みください。
- 今ここにあるものを大切にするエシカルジュエリーブランドYURI SATO
- 都市鉱山の豊かな日本と品質の高いジュエリー
- ジュエリーとお財布のエシカルな交差点
今ここにあるものを大切にするエシカルジュエリーブランドYURI SATO
先ず始めにYURIさんのプロフィールをお伺いさせてください。
YURIさん 私は株式会社ONという会社をやっていまして、弊社が主にやっていることは3つ。YURI SATOというジュエリーブランドの運営と、OEM事業、一点もののリメイクやオーダーメイドの製作を行っています。
新卒からジュエリー業界に入り、ジュエリーデザイナーとして勤務していました。退職後ニューヨークに移住し、現地でジュエリー製作を学び、デザインから製作まで一貫して行うという現在のスタイルになりました。YURI SATOというジュエリーブランドはニューヨークで生まれたのですが、今のフィロソフィーに転換したのは2020年の日本に帰国した後です。
―YURI SATOのフィロソフィーとはどのようなものでしょうか。
YURIさん 「心も環境も大切に、持続可能なワタシを愛する。」をコンセプトに、ジュエリーを通して物心共に豊かな世界を目指しています。新しい資源採掘に頼らない、都市鉱山*などを活用した再利用ゴールド、シルバー、ダイヤモンドなど、今ある地上資源を循環させてジュエリーを作っています。また「ありのままの自分を大切にできる」ように、デザインでメッセージを表現しています。
*都市でごみとして大量に廃棄される家電製品などの中に存在する有用な資源(レアメタルなど)を鉱山に見立てたものである。そこから資源を再生し、有効活用しようというリサイクルの一環となる。
熊谷 ものづくりとなると環境に良い商品は多くなりましたが、「心も大切に」や「持続可能な私」はベクトルが自分に向いていますよね。CACTUS TOKYOのお客様も、まさにそうなのですが、30代以上の女性のトレンドとして、社会(環境)の豊かさと、その人自身の心の豊かさが、同等な価値観であると実感しています。この点はどの様な背景なのでしょうか。
YURIさん もちろん環境のことも大切ですが、皆さんにまずは自分自身を大切にしてもらいたいと思っています。現代社会は、経済的な豊かさや社会的正しさを追いものに留めるあまり、本当に大切なものを見失いがちですよね。
私自身、数年前とあることで精神バランスを崩してしまい、それまで夢中で続けていた製作活動もストップ。暗闇の中にいるような感覚でした。あの時の私は人の持っているものや外の状況ばかりに目が向いていて、本当は「色んなものを持っている自分」であることに感謝できずにいました。
そんな経験も相まって、このYURI SATOのフィロソフィーでは、私たちが“今ここにあるもの”を大切にし、物心ともに真に豊かな持続可能である世界を目指しています、としています。
都市鉱山の豊かな日本と品質の高いジュエリー
―そんなYURI SATOの特徴と言えば、都市鉱山素材を活用したジュエリーですよね。どのようなきっかけで都市鉱山を使うようになって、YURI SATO がエシカルジュエリーブランドへと転身していったのでしょうか。
YURIさん ジュエリーデザイナーとして働き始めてからずっと「私にとってのエシカルのカタチ」というものを模索してきました。そしてここ日本の都市に蓄積されている資源=都市鉱山という存在を知った時に、先述した心の学び「今あるものを大切にする」という点と共鳴したんです。
そこから「心も環境も、今あるものを大切にすることで私たちは真に豊かになれる」というフィロソフィーが確立しました。
熊谷 スマートフォンは最も買い替えスパンが短く、その廃棄物が時折問題になると聞いたことがあります。そう考えると日本人が生み出す都市鉱山は相当大きな山になりそうですね。
YURIさん 実は日本は有数の都市鉱山の保有国なんです。日本から遠く離れた金属や宝石の鉱山では、いまだに環境破壊や児童労働、労働搾取などの多くの問題が潜んでいます。しかし日本に蓄積されている地上資源を有効活用していけば、ちゃんとジュエリーブランドは成り立っていきます。
エシカルジュエリーと一言で言ってもさまざまですが、私にとっての“エシカルのカタチ”は今ある資源を大切にできる都市鉱山の使ったジュエリーメイキングです。
―もう少し都市鉱山についてお伺いしたいのですが、どのように都市鉱山の金属を使ってジュエリーを作っているのでしょうか。
YURIさん スマホやガラケー、さまざまな電子機器からレアメタルや貴金属(ゴールド、シルバー、プラチナ)を回収できます。そのような都市鉱山専門を扱っている地金屋さんがあり、そこから私は地金を買い付けてジュエリーを作っています。
私自身が貴金属を分析して精錬してという工程は行っておらず、専門機関から認定を受けた証明書がついているゴールドやシルバーを買い付けることで品質を保っています。
熊谷 ダイアモンドなど、宝石も再利用出来るという事はかなり衝撃なのですが。
YURIさん 貴金属は回収後、分析・再精錬されれば再生素材であっても新しいものと品質は変わりませんし、市場では同等の価値が付きます。宝石も何十年で輝きが落ちるものではありませんので、ジュエリーというものは幾度となく形を変えることのできる、循環型ものづくりに最適な素材です。
ジュエリーとお財布のエシカルな交差点
ーYURI SATOをご購入されたり、リメイクを依頼するお客様はどの様なお客様が多いのでしょうか。
YURIさん デザインを気に入って下さることも多いですし、またそれと同じくらい環境に配慮したものつくりや、デザインに込めたメッセージに共感してくれて、ジュエリーを手に取って下さる方が多いです。
またジュエリーリメイクとは長年使っていないジュエリーの宝石や地金の部分を活用して、新しいデザインに作り変えるものなのですが、皆さんそれぞれその宝石について思い出やエピソードをお持ちなんです。例えば今はお母さまが生前大切にされていた形見の指輪をリメイクさせてもらっているのですが、「これでようやくお母さまの思い出と一緒になれる」とおっしゃっていました。そのようなお言葉にはいつもウルッと来てしまいます(笑)
熊谷 そういう意味ではお財布も似たようなところがあると思っています。お財布を使い始める日にこだわりをもったり、金運アップの色が合ったり、ライフステージの変化でお祝いものとしてプレゼントすることがあったり。
お財布を使い始めた今日から「こんな風に日々を過ごす」という想いの現われは、ある意味エシカルとは別の共通点であり、こんな風にジュエリーやお財布を想うことが出来る方はエシカルにも高い関心があると感じています。
YURIさん まさにそうです。「持続可能な自分」と「持続可能な社会」、両方を大切にできる方が一人でも多くなったらいいなと思っています。
熊谷 まさしく。私もお財布でビジョンに向けて頑張ります!
ー貴重なお話ありがとうございました。
(インタビュー協力:YURI SATO様)
ーProfileー
株式会社ON 代表取締役/ジュエリーデザイナー/社会起業家 新しい資源採掘にたよらない循環型ものづくりをしています。 物心ともに持続可能な世界を目指して、NY発エシカルジュエリーブランドを運営。